物語



祖父の死をきっかけに尋ねたのは、志賀野一門を名乗る一族の人々。


彼らはこの地で氏神と呼ばれる神の住まう社をを祀り、

異形を祓うことを糧として暮らしていた。


彼らを訪ねるその途中、

私はこの世とあの世の境を

人ならざる者に対峙する人々の姿を目にした。


惑う私に当主は告げる。


「一年の間、本家次期当主の婚約者として生活してもらう――」


死んだはずの分家元次期当主。


数十年に一度咲く椿の異変。


開き始めた禍門、それを閉じる華紋。




彼らを縛る運命の鎖。


僕を囚えた永久の手枷。


貴女を捕える華の楔。




さあ、すべての因果を断ち切って?




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